思秋期ライターの備忘録

気付けばフリーランス歴18年。インタビュー人数1000人オーバー。48歳の不健康女、原田園子が好きなことだけを勝手に書くBlog

プロカメラマンが、趣味カメラマンほど高価な道具を購入しない理由

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私はライターだが、時には撮影もやる。そのための一眼レフも持っているし、結構お高めのレンズも購入したが、それは趣味兼用のカメラだったから。周りを見渡せば、そこまで高いレンズを購入していないプロカメラマンも多数。そこにはまっとうな理由がある。

 

撮影もセットで依頼される取材のため一眼レフを購入

取材の経費はピンキリで、当然安すぎる案件は断るが、例えば「写真もお願いできるならプラス1万円払える」となる案件には食いついていた時代がある。こういった場合、写真にプロカメラマンと同程度のレベルは求めない(カット程度のもの)ことが多いので、逆に安価にカメラマンを連れて行って気を遣うより気楽だ。

中には、「WEBなんで、スマホでとってきてくれればいいですよ」というケースもあるが、さすがにそれは“ライター”としてのプロ意識が許さないので、ちゃんと一眼レフで撮影してくる(プロのライターとして、コンパクトカメラとかスマホで撮影したような適当な写真を付けると文章の価値も下がる気がする)。

私はそのために10年ほど前に一眼レフを購入した。

 

高級なレンズに変更したのは息子を撮影するため

その一眼レフは、本体に通常レンズと望遠レンズがついて20万円強のものだったが、わざわざ上等なレンズに変更した。特に望遠レンズのほうは気合を入れ、総額40万を超えたと記憶している。

なぜ、高価なレンズに変えたのか?

答えは簡単。当時、サッカーに明け暮れていた息子たちのキラキラした感じを写真に収めたかったからだ。そのために、プラス20万以上のお金をかけることに、何の躊躇もなかった。

その後、カメラマンとその話をし、「ずいぶん思い切った買い物をしましたね」という話になって当時の私は驚いた。そのカメラマンの持つレンズは、私のレンズより安価なものだったからだ。

このカメラマンが貧乏で安いレンズしか購入できなかったというわけではないし、すべてのカメラマンが高価なレンズを購入しないわけではない。実際、私の知るカメラマンは、「低・中・高」の3つのプライスゾーンがあれば、「中」を購入している。

一方、カメラを趣味にしている人はといえば、「高」の購入をステイタスにしている人が少なくない(特にカメラ自体を自慢する人には多い)。

 

プロにとってカメラ機器購入は「投資」

この違いは、一見不思議な感じがするが、その理由を考えると納得できる。

カメラマンは写真を撮影することを生業にしている。カメラはそのための「道具」であり、その購入は「投資」であり、費用対効果が重要視される。とりあえず高価な道具を選択しようと思うようでは、当然収入より支出が高くなり、破産してしまうだろう。

私の周りで、賞をとったカメラマンが何人かいるが、みんなが最高級の道具を使っているわけではないし、今は最高級機器を使っている人でもギャラのアップに合わせて道具にもお金をかけるようになっただけで、最初から道具ありきでのし上がってきた人はいない。中には、まともなカメラがない状態でスタートした人もいるほどだ。

一方、趣味のカメラに費用対効果は関係ない。そこから収入を生み出すことはないのだから、自分が満足するかどうか、納得するかどうかが購入のポイントとなる。「俺は高い道具を使いたいんだ!」という人は、最高級品を買えばいい。それはまったく間違っていない。

 

プロにとって重要なのは道具より「技術」

ただ、時として、高級機器でないといい写真が撮れないと思っている趣味カメラマンは、プロカメラマンの道具を見て、「プロっていっても、こいつはたいしたことないな」と決めつけることがある。

カメラは道具であり、その良否は「写真」で判断すればいいのだが、技術のなさを道具でカバーしようとする人は結局写真を見る能力もないために、わかった風なことを口走ってしまう。残念だ。

カメラマンは安い道具でもプロの写真を撮るし、そのための技術を日々磨いている。しかも、どんなシチュエーションの撮影でも、被写体が何でも高いクォリティを保つために数多くの道具をそろえている。これこそ、「仕事」ではないだろうか。

最後に、この記事を書く気になった理由を書いておく。

外付けのストロボを購入する必要がでたために、プロとアマに話をした。プロには、「とりあえずというなら1万円くらいのものでも使えなくはないが、使い勝手を考えると2~3万円のものを買えばいいんじゃない?」と言われた。

一方アマには「“仕事”で使うんなら、○○っていう5万のか、もうワンランク上の○○がいいけど、安く買っても7万はするよ」と言われた。

せっかくアドバイスをもらっておいて申し訳ないが、高いストロボのポテンシャルを発揮させる技術は私にはない。そしてあなたは、カメラの仕事の何を知っているのかをまず教えてほしい。